「仙禽セミナー アカデミックな日本酒の世界」1 仙禽の商品のコンセプト

「仙禽」 薄井一樹蔵元に来ていただき、飲食店様向け日本酒セミナーを開催しました。そのご報告です。

タイトルは・・「アカデミックな日本酒の世界。 仙禽の方向性 仙禽の商品のコンセプト そして酸が導きだすマリアージュのコンセプト。」

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もっともっとお酒が一杯、二杯に繋がる方程式がある

最初の前振りの話しから刺激的!

「もっともっとお酒が一杯、二杯に繋がる方程式があると実は考えている。

後半に仙禽の特徴の酸の分析をしますが、どういうお料理に実は合ってどういう季節には人体が酸を求めて、 どういう温度帯にあればその酸が一番活きている。それには実は方程式がある。

酸には実はいろいろな種類がある。リンゴ酸、琥珀酸。

そして、それぞれには特徴がある、相性の良い調味料、食材、お料理 適した飲用温度帯 適した季節が実はある。

それを知って帰ってもらい日本酒を一杯でもニ杯でも飲んでもらえるよう活用してもらいたい。

前半は仙禽のプレゼンをしますが、それは実はいろいろなお酒に利用できる話なんです。」

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現在は98%まで特定名称酒になった。

それでは現在に仙禽についてお話します。

「株式会社せんきんは創業1806年 江戸末期で209年の歴史。現在は栃木県さくら市。もともとは氏家町。日本酒だけを造ってきました。 

場所は関東平野の中央に位置する。近くには「鬼怒川」が流れる。「鬼が怒る」そんな名称が付くぐらい流れが速い川です。

さくら市はその川の麓、水の上に蔵が建つといっていいほど非常に水が豊富なエリア。それもあり、お米が作りが非常に盛ん。いい米が作れる土地。

仙禽ブランドは2007年スタート。 2003年に私が戻ってから3年でスタート。 当時は特定名称酒(本醸造以上)が30%。他が普通酒。実は全体の80%が置け売り(他社の製品を委託製造)だった。

現在は98%まで特定名称酒になった。

酒蔵は歴史が古い分、良いところも、悪いところがある。毎年修繕しなければいけないし、いい酒を造るには設備投資もし続けなければいけない。

現代の水準の槽(ふね)。 現代の水準の甑(こしき) 現代の水準の箱。設備投資と修繕を平行に行う。 出費が多く頭が痛い!!

いい原料も買わなけりゃいけない。利益が出ても台所が苦しい。・・そんな業界です、

地元銘柄は「霧降(きりふり)」。地元栃木や東京にも出荷しています。

私共で現在一番推奨、推進していることは「ドメーヌ化」。

ドメーヌはフランス語、言葉の意味は「区画領域」。 フランスの中でもブルゴーニュの地域で良く使う。自分で葡萄畑を所有。原料の栽培、醸造、瓶詰め、 最終製品まで一貫して行う。

そんなドメーヌはフランス・ドイツでは多いが日本ではほぼ無い。

何故なら、お米は明治までは小作人制度で目に見える範囲でお酒を造ってた。

現代は酒造好的米を開発されていて・・代表的なものは「山田錦」「雄町」。それには栽培に適した産地があり、その産地からお米を購入する。

山田錦は兵庫、雄町は岡山等

それらは私たちが買い取るのが通例になっていて、そのように数百キロ離れたところから仕入れる、目にみえないところから原料を買うが当たり前。

もっと酒造りしたいけどお米が買えない!ということも出てくる・・それは商社からお米を買っているから。数千、数百の蔵元にお米を販売するから大手優先になって中小の蔵には入ってこなかったりするのです。

さらに・・毎年、相場が変動、毎年価格が不安定、数も安定しない

それらの状況を踏まえ「どうしよう?」 

自社で造るのも一つの選択肢だけど、全量を自分で造るのは不可能。
地元の農家と結託することを考えた。 しかし、ただの栃木県産だけでは納得できない!

当蔵は栃木県中央に位置する、東西南北、水脈違うし、土地も違う、同じ米でも全然出来が違う。我々は地下水でお酒を造る。その仕込み水と同じ水脈上に限定、そこに昨付けする。

選んだお米は「亀の尾」「山田錦」「雄町」「ひとごごち」。

一昨年まで兵庫県から「愛山」を買っていた、好評を得ていた、ドメーヌ化では使えない、それは種籾を持ち出せないから・・それで残念ながら製造を終了し、その代わりに山田錦の作付を選択した。

但し、同じ水脈上の田圃に限定することによって製造石数の上限が出来る。それはそれで構わないと思う。

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「仙禽の好適米」は、 価格はコシヒカリの1.5~2倍で買い取る。

お米には早生(わせ)と晩生(おくて)がある。早生は早く収穫するお米 食米、ひとごごち 亀の尾

晩生は関西。西のほうのお米。山田錦、雄町

私共は さくら市氏家町に雄町、と山田錦を作付している。

そうすると、周りの田圃がとっくに刈取りが終わった中で (9月中頃に他の米は刈取り、山田錦や雄町は10月末まで刈り取らない。)まだそのままで近所の農家がおかしいと騒ぐ。

穂が高い、特に雄町はヒゲも生えていて、見た目から違う! 「仙禽の酒米造っているだよ」とあっという間に噂が広がった。

実はお米の農家さんは困っている。TPP(自由貿易協定)の問題もある・・今後は通常植えている「コシヒカリ」でやっていけるか?ギリギリのところなんです実は。

コシヒカリの相場が下がってきている。そうなると、息子に継がせない、農地を手放すところ増えてきている。

それに比べて「仙禽の好適米」は、 価格はコシヒカリの1.5~2倍で買い取る。相場制で無いので安定もある。
但し!酒米を作る勉強をしなければいけない。

こぞって仙禽の好適米を作らせてくれといってくる。「もうコシヒカリには頼れない。」「もう一回農家として花を咲かせたい。」

現在は5軒だけど来年は10軒に増える。 これは非常に明るい材料。

地元の農家さんと技術交流をして、その土地の特性にあった酒造好適米を作る。

小さな町だけの問題ではない。全国の酒蔵さんが、顔の見えない土地からお米を買うのじゃなくて、地元の農家さんと技術交流をして、その土地の特性にあった酒造好適米を作る。

価格が安定、蔵元にもメリット、 地元の農家も酒造好適米を作って生活が変わったという農家がいる。

地元に利益を還元する。今後もドメーヌ化を推進する。そして田んぼを手放す人が増えているので、それを農業生産法人を田圃を買うやめに立ち上げた。買い上げ、賃借でさらにドメーヌ化を進める。

仕込み水の水質に向き合うことが大事。

ほとんどのお蔵が地下水を使う、町の水道をろ過して使う蔵もある。
ここ、さくら市氏家は水の上に蔵立つというほど!水が豊富なところなので水質に向き合うことが大事。

今までは、酵母の力、技術でお酒造りを出していた。仙禽のコンセプトである甘味を出す、酸を出す。技術に頼って出していた。

仙禽の地下水、唯一無二 その水質は超軟水

その性質は、発酵力が弱い、ミネラル成分が少ないのでモロミの発酵が遅れる=発酵力が弱い=アルコールが出ない。

もう一つのコンセプト「原酒」。アルコールを出したくない。 

13,14,15,16度のお酒 それらは超軟水と向き合うことで生まれている。

同じ環境で育ったものには絶対かなわない。

お米も仕込み水(地下水)と同じ水脈上で育っている。つまり、仕込水を吸って育っている。それで醸造すると米と水の究極のマリアージュが産まれる。

県外の特等よりも同じ水脈上のの2等 3等でも特等よりいいものが出来る

同じ環境で育ったものには絶対かなわない。

私共は水をテロワールと定義。 もともとは作物の生育環境を言う。ワインでは土壌、その年の気温。
ワインは実を収穫しても木が残る、 お米は刈ってしまうので何も残らない。

テロワールという言葉が使いにくい、日本酒で使うならば多と違う唯一無二は水だから、それが「テロワール」

清酒製造業は農業の延長上と確信、原料と水質を向き合うことで原点に。

現代の日本酒造りでは、85点の日本酒が出来てあたりまえです。それは10年くらいで酵母の開発が進んだ。こういった設計で造ると85点のお酒が出来る。それは酵母頼みの酒造り。酒が似通ってきてもいる

日本酒の追い風でなくなったときには・・酵母を頼らない、お米だったり、お水、お酒の根本と向き合うことが道だと思っている。 それで導き出したのが「ドメーヌ化」

それは清酒製造業は農業の延長上と確信しているから。技術ではない酵母、もう一回水と米に向き合う必要がある。

結果、仙禽は変わってきている。酸がクリア、透明感になってきた


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仙禽は機械製造品では無く伝統工芸品である。

10年前は麹、原料処理は機械だった。全てエアシューターで飛ばしていた。いいお酒が出来てなかった。

蔵に戻ってきてまず最初にしたことは、機械工業を止めること。木桶でお酒で造る、麹を手造りに、山廃・生もと伝統的製造方法を復活。

そして酸味、甘味を基調にして設計。特に「酸味」が当蔵の生命線。

製造に関しては、上槽後の澱引き、ろ過・加水を一切しない。速やかに瓶火入れ、瓶貯蔵を行う。

冷蔵庫にそのまま入れる。 モロミの段階でいいお酒を造る、搾った後にドンドンお酒が悪くなる。

お酒に搾った後に速やかに瓶詰め出来るかどうか。瓶に囲えば酸化しない。それが瓶貯蔵がタンク貯蔵が優れている。

火入れまでもダラダラ期間を延ばしているお良くない、迅速に火入れがお酒にとってもいい環境をもたらす。

原酒が前提。 低アルコール。 

かぶとむしは13度で原酒。クラシックも14度原酒。通常の仙禽は15.8~15.9度 16度越える酒は存在しない

無濾過生酒が流行ったとき7~8年前は17.8度とか18.3度、飲むと美味しいけど2.3杯飲めない。飲み疲れをする。

しかし原酒は美味しい。原酒のボディが強くてふくよかさがあって飲み易いのがベストだから、原酒で低アルコールになった。

季節によって酸の出し方を変えてリリース

しぼりたて 夏の生酒 秋のひやおろり 山廃、生もと 仙禽は季節のよって酸の出し方を変えてリリースしています。

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仙禽セミナー1終了。続編「セミナー2 酸の分析」しばらくお待ちください

仙禽について詳しくはこちらから

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造り手の想いがこもる珠玉の酒が集う
日本酒、ナチュラルワイン、国産ワイン、梅酒、焼酎。名古屋市西区枇杷島に「Shusendo本店」 地下鉄伏見駅伏見地下街に「Shusendo Mini」の2店舗を展開中。 通販・ネットショッピングにも対応。
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この記事を書いた人

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