日本を代表するお酒である「日本酒」と「焼酎」。海外の人からも人気・知名度ともに高く、贈り物やおみやげとしても喜ばれます。
そんな日本酒と焼酎ですが、「どう違うの?」と聞かれたときにすぐに答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。
今回の記事では、「日本酒と焼酎の違い」をテーマに解説します。
それぞれの製造方法や原料、味やアルコール度数といった六つのポイントを紹介します。
日本酒と焼酎は、どちらもこれからの寒い食事のおともにぴったりです。これから飲んでみようと考えている人も、すでに楽しんでいる人も、ぜひ目を通してみて下さいね。
【1】日本酒と焼酎 最大の違いは「製造方法」と「原料」
日本酒と焼酎はどちらも昔から造られており、長い歴史があります。蔵元や酒造メーカーが全国にあり、地域によって香りや風味が異なるといった共通点もたくさんあります。
そんな両者の最大の違いは、「製造方法(造り方)」と「原料」です。ここでは、日本酒と焼酎それぞれの特徴について解説します。
日本酒の製造方法(造り方)
日本酒は、「醸造酒」に分類されます。
醸造酒にはワインやビールなどがあり、昔から他国でも造られてきました。ですが、「並行複発酵(へいこうふくはっこう)」という発酵方法を用いているのは日本だけです。
並行複発酵は、日本酒造りに欠かせない「糖化」と「発酵」を一つのタンクの中で同時進行させるという、日本独自の発酵技術です。
米に麹を加えて糖分を造る「糖化」と、糖分に酵母を加えてアルコールを造る「発酵」という工程は、ビールでも行われます。ですが、ビールはこの工程をそれぞれ順番に行うのに対して、日本酒は一つのタンクで同時に行います。
実現するためには、厳しい温度管理やタイミングといった様々な工夫などが必要です。
日本酒のまろやかなコクや、他の醸造酒よりも高いアルコール度数といった魅力は、この並行複発酵によるものなのです。
焼酎の製造方法(造り方)
焼酎は、「蒸溜酒」に分類されます。
蒸溜とは、醸造酒を加熱し、その蒸気を冷やして液体として抽出することです。蒸溜によって不純物を取り除き、アルコールの純度を高めることができます。
蒸溜には、さらに「単式蒸溜(乙類焼酎)」と「連続式蒸溜(甲類焼酎)」の二種類があります。
以前は乙類焼酎、甲類焼酎という名称だけでしたが、優劣があると誤解されやすいため、単式蒸溜・連続式蒸溜に変更されました。
単式蒸溜は、一、二度蒸溜させる造り方です。原料や製法などから生まれる焼酎の個性をほどよく残すために用いられています。
連続式蒸溜は、何度も蒸溜を繰り返すことによって、クセがなくて飲みやすい風味と、純度が高いアルコールを造るための方法です。
(2)日本酒の原料
日本酒の主な原料は、米、米麹、水のみです。特に「純米」を名乗る場合は、この三つだけで造ることが条件として定められています。
それ以外に、吟醸酒や本醸造酒には、味のバランスを整えるために醸造アルコールを加えます。すっきりとしたキレや爽やかさは、醸造アルコールによるものです。
ですが、原料の大半を占めるものとして米以外が使われることはありません。その点が焼酎とは大きく異なります。
(2)焼酎の原料
焼酎の原料は、主原料となるもの、麹、水です。
焼酎は、主原料がバリエーション豊富なことが特徴です。主なものに麦・米・芋がありますが、それ以外にも、黒糖、そば、栗焼酎、酒粕、牛乳、アロエなど様々です。
ですが、国税庁の定める物品を主原料にしていないものは「本格焼酎」を名乗ることができないので、注意が必要です。
●麦焼酎一覧
https://www.syusendo-horiichi.co.jp/SHOP/80651/82663/list.html
●米焼酎一覧
https://www.syusendo-horiichi.co.jp/SHOP/80651/82662/list.html
●芋焼酎一覧
https://www.syusendo-horiichi.co.jp/SHOP/80651/80654/list.html
また、日本酒と同じように、麹と水も重要です。
焼酎の麹も、主原料に含まれるでんぷんをアルコールのもとになる糖分に変える働きがあります。焼酎造りでは、主に黒麹や白麹、黄麹などを用いられます。
参考:焼酎に関するもの(国税庁)
【2】日本酒と焼酎 味やアルコール度数などの違いも知ろう
ここでは、味やアルコール度数、それにカロリーといった四つの違いについて紹介します。
(3)味
原料と製造方法(造り方)がとにかく豊富な日本酒と焼酎は、一言で「こういう味」と表現できません。
ここでは、二つの違いと言われやすいポイントだけを紹介します。
【日本酒】
日本酒の主原料は米と水ですが、精米歩合や製造方法などによって味が大きく変わります。
焼酎との味の違いとしてよく挙げられるのは、日本酒のほうが米の甘みやコク、旨味といった「まろやかさ」を感じるものが多いという点です。
特に、醸造アルコールを加えない純米酒でその特徴がはっきりしています。
【焼酎】
焼酎は原料のバリエーションが豊富なので、味そのものの種類も数え切れないほどあります。
日本酒との大きな違いは、蒸溜する分アルコール度数が高く、全体的にクセがなくすっきりした印象になることです。
焼酎の代表的な原料である米・麦・芋の味の違いは、下記の通りです。
米焼酎は、米の甘みやコクを感じられるので、印象が日本酒に似ています。日本酒が好きな人に、特におすすめです。
麦焼酎は、香りにクセがなく、味もすっきりとしているため、初めて焼酎を飲む人にもぴったりです。
芋焼酎は、さつまいもを原料にしているので、甘い香りと柔らかな味が特徴です。軽やかなものから濃厚なものまで、豊富に揃っています。
(4)アルコール度数
【日本酒】
日本酒のアルコール度数は、酒税法によって22度未満と定められています。
流通している日本酒は15度前後が多い傾向ですが、最近では低アルコールの日本酒も増えており、ストレートの日本酒が苦手だった人にも楽しめるようになりました。
【焼酎】
焼酎のアルコール度数は、酒税法によって、単式蒸溜(乙類焼酎)が45度未満、連続式蒸溜(甲類焼酎)は36度未満と定められています。
流通している焼酎は、20~25度が一般的です。
(5)アレンジ
【日本酒】
日本酒は、これまでストレートで飲まれることが一般的でした。冷酒や燗などで酒の温度を変え、風味を変化させてきました。
ですが、最近では、ロックや水割り、ソーダ割りのように、焼酎と変わらないアレンジが定着しています。それ以外にも、牛乳やバニラアイスとも好相性です。
焼酎・日本酒どちらも、最近はカクテルのベースとしても使われるようになりました。生絞りのフルーツやジュースなどで割るアレンジがおすすめです。
【焼酎】
焼酎はアルコール度数が高いため、基本的には割って飲みます。代表的なものには、ロック、水、お湯、お茶、ソーダなどがあります。
それ以外のちょっと変わったアレンジとしては、コーヒー、牛乳、きゅうりなどです。
(6)糖質・カロリー
【日本酒】
糖質:3.6g
カロリー:102kcal(純米酒)
(100g当たり)
【焼酎】
糖質:0g
カロリー:単式蒸溜(乙類焼酎)146kcal、連続式蒸溜(甲類焼酎)206kcal
(100g当たり)
焼酎は、糖質のほかにプリン体や脂質もゼロです。さらに、焼酎は割って飲むことが一般的です。そのため、炭酸やお湯割りなどで割った場合は、一杯全体量120mlカロリーは40~100kcalまで下がります。
まとめ:日本酒と焼酎 様々なアレンジを気軽に楽しんで
日本酒と焼酎はどちらも比較的アルコール度数が高いお酒ですが、アレンジのバリエーションが増えたため、今ではストレートでは飲みづらかった人たちでも楽しめるようになりました。
特に、日本酒は低アルコール商品がブームになったこともあり、炭酸入りで軽やかな飲み口のものが次々と販売されています。
日本酒と焼酎はどちらも、すっきりしたドリンクだけではなく、ジュースや牛乳のように意外性あるものとの相性も抜群です。
「新しい味を開拓したい!」という人は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
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