日本酒の風味を表現する言葉の一つに、「甘口」「辛口」があります。ですが、辛口と書いてあるお酒を飲んだのにもかかわらず、なぜか甘く感じた人はいるのではないのでしょうか。
実は、甘口・辛口という表現は、「甘さ」を基準にしているわけではありません。漢字のイメージからそう思ってしまうのも仕方がないことですよね。
今回の記事では、「日本酒の甘口・辛口とは」をテーマに解説します。記事前半では、甘口・辛口に関係する数値、後半では4種類の風味について紹介します。
辛口・甘口の見分け方を知っていると、数ある中からイメージしている風味のお酒を選ぶときに、とてもラクになります。
また、贈り物としてのおすすめも紹介しているので、ぜひ参考にして下さいね。
【1】日本酒の甘口と辛口を見分ける3つのポイントとは?
最初に、日本酒の甘口・辛口を見分けやすくなる「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」について解説します。
(1)日本酒度
甘口か辛口かをある程度判断できるのが、「日本酒度」です。日本酒度の数値は、-10から10の間で表現されることが一般的です。
日本酒度とは、お酒の「比重」を数値にしたものです。
日本酒に含まれる原材料の重さは、「アルコール>水>糖」です。
糖を発酵させてアルコールが増えるにつれて、液体は軽くなるため、日本酒度はプラスになります。
その逆に、糖などがそのままの状態で残っている液体は重くなるので、日本酒度はマイナスです。
そのことから、日本酒度を甘口・辛口の判断材料に使うこともあります。
日本酒度が小さい(プラス)=糖が少ない=辛口
日本酒度が大きい(マイナス)=糖が多い=甘口
ですが、日本酒の風味は糖の含有量だけで決まるわけではありません。他の原材料や造り方など、様々な要素によって大きく異なります。
そのため、日本酒度はあくまでも「目安」としてチェックしてみることをおすすめします。ラベルにも記載があるので、ぜひ見てみて下さいね。
(2)酸度
日本酒の甘口・辛口をチェックしやすい数値として、次に挙げるのが「酸度」です。日本酒に含まれる有機酸の含有量を表しています。
酸度の数値は、0.5から3.0の間で表現されることが一般的です。
酸度と甘味はお互いに影響し合っているため、その数値によって甘口・辛口を見分けられることもあります。
また、キレのよい淡麗か、コクのある濃醇かといった風味にも関係しています。
酸度が高い(1.6以上)=辛口、濃醇
酸度が低い(1.4以下)=甘口、淡麗
ですが、日本酒には様々な種類の有機酸が含まれており、量とバランスによって風味が異なります。
日本酒度と同じように、あくまでも目安として楽しむことをおすすめします。
酸度にはラベル表示義務がないので、記載されていないことが一般的です。もし載っていたら、ぜひ確認してみて下さい。
(3)アミノ酸度
「アミノ酸度」は、お酒にコクや旨味を与える成分の数値です。アミノ酸度の数値は、1.0から2.0弱の間で表現されることが多い傾向です。
アミノ酸度は、お酒の種類によって大きく異なります。
一般的には、数値が高いほど、コクや旨味、ふくよかさやなどを感じる風味になります。ですが、吟醸酒の場合、あえて抑えることによって軽やかさを楽しめるようにしているものも数多くあります。
日本酒の旨味は、お酒に含まれる約20種類のアミノ酸のバランスや、それぞれの熟成具合などによって仕上げられているのです。
【2】日本酒の甘口と辛口 4種類の風味について解説
ここでは、4種類ある日本酒の風味について解説します。相性のよい料理も一緒に紹介しているので、ぜひ参考にして下さいね。
(1)淡麗・辛口
日本酒度:プラス
酸度:低
淡麗・辛口は、キリっと喉越しがよく、後味もすっきりとした風味です。食事に合わせやすい風味ですが、その中でも、特にさっぱりした料理と相性抜群です。
(2)淡麗・甘口
日本酒度:マイナス
酸度:低
淡麗・甘口は、すっきりとした飲み口でありながら、甘口の後味も味わえる風味です。透明感と甘さがバランスよく調和しています。
料理との相性抜群ですが、その中でも特に天つゆを使った料理がおすすめです。おひたしや天ぷらなどが好物の人は、ぜひ試してみて下さい。
(3)濃醇・辛口
日本酒度:プラス
酸度:高
「濃醇(のうじゅん)」は、こっくりとしたコクのある風味を表現する言葉です。
濃醇・辛口は、濃厚な旨味やコク、ふくよかさがありつつ、後味にはしっかりとしたキレも楽しめます。
料理は、すき焼きやぬか漬けといった、味付けがしっかりしたものと相性抜群です。
(4)濃醇・甘口
日本酒度:マイナス
酸度:高
「濃醇・甘口」は、深いコクや旨味、濃厚な甘みといった複雑な調和を楽しめます。お米だけではなく、まるでフルーツを思わせる甘みを味わえるものなど、様々な種類があります。
濃醇・甘口のお酒は、コクと甘みのあるすき焼きのような料理と相性抜群です。
また、クリームチーズやチョコレートのような洋菓子とも意外に合います。いつもとは違う組み合わせを試したい人に、特におすすめです。
【3】日本酒の甘口と辛口 贈り物におすすめなのは?
女性や若い方、海外の方といった、これまで日本酒を飲まなかった客層を中心に、空前の日本酒ブームが起きています。
バリエーションがどんどん豊富になっているため、選ぶときに悩んでしまう人もいるかもしれません。
「初心者」と「日本酒通」におすすめの風味について知っておくと、選ぶときにとても便利です。ぜひチェックしてみて下さいね。
初心者でも飲みやすいのは?
普段あまり日本酒を飲まない人におすすめなのは、風味が甘めで、低アルコールのお酒です。
日本酒にソーダを加えた、まるでスパークリングワインやシャンパンのようなお酒も人気です。吟醸酒のように、フルーティーで華やかな香りのお酒もよいでしょう。
特に、日本酒初心者だけではなく、女性、海外の方にとても好評です。
アルコール度数が高い日本酒を贈る場合は、ソーダ割やジュース割といった、最近流行のアレンジも一緒に伝えることをおすすめします。
サイズも、四合(750ml)がよいでしょう。
日本酒通の人に好まれるのは?
日本酒通の人は、「辛口」の風味を好まれる傾向です。そのほかにも、「キレ」「シャープ」といった言葉で表現されるお酒がおすすめです。
また、スパークリング日本酒のような斬新なものよりも、知名度が高く、昔から愛されてきた銘柄のほうが好評です。
辛口のお酒は、日本酒通、シニア層、男性のほか、食事とお酒を合わせるのが好きな人に贈ってはいかがでしょうか。
日本酒通の人であれば、サイズは一升瓶でもよいでしょう。
まとめ:日本酒の甘口と辛口 利き酒セットもおすすめ!
日本酒のおおまかな甘口・辛口の見分け方は、「日本酒度」や「酸度」である程度掴めることもあります。
ですが、日本酒の風味は、原材料や含有量のバランスといった様々な要素にも影響されるため、なかなかイメージするお酒が手に入らない人もいるかもしれません。
その場合は、お酒の専門店や酒造の直売所などで相談してみるのもおすすめです。酒造の直売所には、試飲させてもらえるところもあります。
食の好みからお酒を選んでくれることもあるので、気軽に相談してみましょう。
酒泉洞堀一では日本酒の人気銘柄から店頭では手に入りにくい珍しい銘柄まで多数取り揃えています。種類がたくさんありすぎて何を選んだら良いか分からない!という方は、日本酒ソムリエのおススメ美酒から選んでみてはいかがでしょうか。
●甘口のお酒は「醸す森(かもすもり) 純米大吟醸 生酒 720ml」
●辛口のお酒は「来福 純米吟醸 超辛口+18 火入 720ml 」
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