
而今(じこん) 木屋正酒造 三重県名張市
而今を醸す木屋正酒造は三重県名張市にある。名張市は周りを山に囲まれた伊賀盆地にあり、奈良県との県境。名古屋からは特急を乗り継いで1時間半、大阪からは1時間。駅前の古い民家が立ち並ぶ一角に木屋正酒造はある。もともとの地元銘柄は「高砂」。1818年創業以来の蔵建物で酒を造り続る。蔵の後継者 大西唯克(ただよし)さん 1975年生まれ。上智大学理工学部創業後、乳業会社に就職、研究職に就く、退社後東広島の醸造試験所にて酒造りを学ぶ。蔵に戻り但馬杜氏さんの下での酒造りを経た後、杜氏としてデビュー。
自分の銘柄として醸したのが而今(じこん)。
而今(じこん)は仏教の禅の教えであり、蔵の座敷にあった掛け軸からインスピレーションを得て命名された。
而今の生酒はフレッシュでジューシーな美味しさが際立ち、 火入れ酒は火入れの技術に冴えを見せ、旨味とキレの対比が見事。
【木屋正酒造訪問記:2025年1月】

先日、弊社のスタッフ5名で人気の蔵元である木屋正酒造を訪れました。天気が暖かかった中で急に気温が下がった日で、風も強く蔵の周囲には雪がちらつく中、朝には積雪もあったそうです。
大西蔵元のご厚意で歓迎していただき、丁寧なご案内と説明を受けました。午後だったため、仕込みが落ち着き、使った道具の洗浄や清掃に追われていました。
蔵内を覗くと、日本酒製造のピークであり、最高峰のお酒「出品酒」がタンクで発酵中であり、多くの純米吟醸や特別純米の酒のタンク内で仕込まれ、「生酛」の酒母も蔵の奥の特別な冷蔵庫で育てられていました。非常に活気に満ちた仕込み風景でした。

自然な「にがみ」が食事との調和点になる
そして待ちに待った試飲の時間になりました。搾りたての「酒未来」は、爽やかなフルーツの香りと繊細さが特徴であり、発売が間近な「純米吟醸 三重山田錦」は今年の而今らしい繊細さと旨みがしっかり感じられ、山田錦の風味もしっかりと広がっていました。今回のテイスティングで、大西蔵元が教えてくれたことで私も新しい発見がありました。なんと、「而今」は香りや甘さ、旨味だけでなく、ミネラルが豊富な仕込み水や原料米、そして麹から自然に引き出される「にがみ」にもこだわっているそうです。
そのおかげで口の中が締まり、その複雑さが食事との調和点となるとのこと。確かに、「而今」を飲むと吟醸酒のなめらかさを感じるばかりでなく、食事との相性も抜群です。飲んだり食べたりしたくなるのも納得ですね!MAKE SENSE

蔵は三重県の伊賀盆地に位置
蔵見学の最後に蔵の屋上に出ました。蔵は三重県の伊賀盆地に位置しています。この土地は朝と夜の温度差が大きく、夜には田んぼの水温がしっかり下がるため、周辺では高品質なお米が収穫されます。 今現在、「而今」の山田錦の最高峰の日本酒は、「簗瀬」と「名張」という産地のネーミングが付けられた伊賀盆地で作られたお酒です。その土地の味わいを今後も追求していく予定です。また、ここ「名張」は、京都を通り大阪湾に流れ込む木津川の源流でもあり、ここでは名張川と呼ばれ、蔵のすぐ横を流れています。盆地を取り囲む山々がその川の出発点になっており、流れ出たばかりの清らかな水を蔵の地下の井戸に直接供給しており、「而今」のお酒造りをしっかり支えているのです。

38件中1件~38件を表示