
ぷくぷく醸造 福島県南相馬市
【ぷくぷく醸造訪問記:2025年1月】

福島県の南相馬市、JR常磐線の小高駅から徒歩10分の所にある開設されたばかりの「ぷくぷく醸造」を訪問しました。
代表である立川さんがこのブランドを立ち上げたのは2022年のこと、それから3年近く色々な醸造施設を借りてお酒を作り上げてきましたが、今回遂にこの「小高」の地に自社醸造場を開設しました、
建物は元々は美容室であった古民家を改造しています。


この地は、東日本大震災による放射能漏れによる避難地域のギリギリ圏内にあり、約6年も解除まで年月が必要だったため。現在も避難前の四割の人口にしか戻っていないそう。 しかし、その多くの空き家に若い事業主が入り、新しい町を形成し始めている。 立川さんもその一人で、災害時にボランティアとして何回も福島県の常磐線沿線地区(福島県浜通り地区)を訪れたことにより、この地域に愛着を持ち酒蔵立ち上げを決意されたそうです。

製造設備は密閉にも出来るタンク
カテゴリー分けとしては「クラフト・サケ」に分類されるこの醸造場は酒造免許としては「その他醸造免許」を所持し、加えて「発泡酒免許」も持つのが特徴です。 それに象徴するように製造設備は密閉にも出来るタンクで、クラフトビール製造用のものです。またスパークリング用の瓶詰め機もあり、しっかりしたスパークリングを持つお酒がラインナップに加わります。 また蒸し器や、酒母や発酵槽の一部に木製の発酵槽を使い、木の効用と味の深みをお酒にも加えて行きます。
そして注目は「一度も協会酵母などの市販にものを使っていない、完全なる天然酵母での発酵になる」ことです。
既存の蔵元では、以前や今も酵母の使用経験があり、酵母無添加の醸造を行なっても、それはそれの変異体が蔵に住み着いて、それによる発酵と言われています。
またそうでないと酵母無添加の発酵は難しいと言われており、最初から酵母無添加での発酵の成功は私個人としてもとても驚きでした。
またその酒母手法は「水もと」や「花もと」や「生酛」を行い、また「白麹もと」も計画あり、考えられる全ての自然な造り手法を駆使し、その技術の幅は半端無い!と素直に驚かせる。


考えられる全ての自然な造り手法を駆使
またその酒母手法は「水もと」や「花もと」や「生酛」を行い、また「白麹もと」も計画あり、考えられる全ての自然な造り手法を駆使し、その技術の幅は半端無い!と素直に驚かせる。 今回は一番その中で珍しい手法である「花もと」について詳細を伺った。 ビールなどに使うホップを煮詰めると、ホップから抗菌作用のあるエキスが染み出し、それをベースに酒母が作れるだそうだ、因みに、ぷくぷく醸造では日本の古来のホップである「カラハナソウ」を使う。それは伝統的な日本の「どぶろく」の製造手法の一つとして古くから行われているものだとのこと。
今後はそれらの手法を組み合わせて、味幅なるべく大きくして作っていく方針で、毎回違う味わいが楽しめそうだ。
お酒造りは立川さんと、もう一人のスタッフと二人で行っている。
そして週末は蔵内で角打ち営業を行う。簡単なおつまみと、勿論「ぷくぷく醸造」のお酒と、クラフトビールやナチュラルワインや焼酎など多彩なお酒も楽しめので、近くの方は是非訪問してみてください。
